鮫川和紙は、水がきれいな鮫川の源流で生まれました。その主な用途は障子紙としての利用でした。しかし、パルプを使った工場での紙製造が主流となり、障子紙の利用は減少するなど和紙の需要は減り続け、300年余り続いた鮫川和紙の伝統技術は一時途絶えていました。
当時、村内に唯一残っていた和紙職人・星弘さん(当時91歳)も高齢となり、20年前に和紙漉きを廃業していました。2006年、鮫川和紙の文化を残したいと定年退職を機に星弘さんを師匠として、和紙作りを始めたのが齋須寛一さんです。
「和紙の原料となる楮(コウゾ)は、昔から農家で栽培されていたから残っている。でも皮をむいて原料を作り、和紙を漉くのは真冬の仕事。だから継いでやる人はいないよね。」と齋須さん。それでもたくさんの人が和紙作り体験などで、ログハウス「鮫川和紙の家」を訪ねてきます。小学校の子どもたちへの紙漉き体験も好評で毎年実施しています。そのほか、紙店の依頼を受けた色や漉きこみを工夫した作品作りに取り組んでいます。
齋須さんの漉く和紙製品は、鮫川村農産物加工・直売所「手まめ・館」で販売されています。体験は申込をすれば、紙漉きの他ランプシェードやうちわ作りなどもできます。齋須さんは、和紙が地域の活性につながればとの想いで、今日も水の冷たさを薪ストーブで温めながら紙漉きを楽しみ、訪ねてくる人と和紙の話を楽しんでいます。
お問合せ先
鮫川和紙の家 齋須寛一さん
HP http://samegawa-washi.com/
問い合わせはHPから
最上段写真:新たな商品として花木の皮を漉き込んだ和紙を製作中の齋須寛一さん
鮫川村の「鮫川和紙の家」にて
齋須さんの工房では、紙漉きの師匠・星弘さんの写真がいつも見守っています