古殿町大久田地区は、古殿町の面積の4分の1を占め、その約9割が林地で、昔から林業が盛んだった地域です。
樹齢400年を誇る「越代のさくら」がある地域でもあります。代々林業を営んできた『有限会社水野林興』(代表:水野武雄さん)は、平成12年から国有林の管理を引き受け、古殿町の森林を守っています。
住宅建設が盛んとなった戦後、日本では杉が多く植林されてきました。しかし、住宅建設の需要に合わせ安価な海外木材が輸入されたことで、国内の木材価格は下落。「40年かけて育てた1本の杉が1500円程の値しかつかないのが現状」と水野武雄さん。
同社でも10人以上いた従業員も現在は常勤で務めるのは5人ほど。
「管理や伐採は技術や経験が必要な仕事。若い人材を育てていきたいが、傾斜地での作業は危険性が伴うにも関わらず所得が低く、早期に辞める人が多くてね」と水野さん。
「でも、後継者不足を嘆くのではなく、技術を指導しながら、森林の管理+αで林業を守る仕組みを考えていきたい」とおっしゃいます。
水野林興では森に親しむ機会も提供しています。林業に興味を持つきっかけになればと、林業に欠かせないチエンソーを使って作品を作るカービングを広げようと年に数回勉強会を開催していた水野さん。
その活動を支えたいと妻の瑞子さんは、事務所を改修し、民泊施設「四季の彩里」を営んでいます。夫婦で畑に季節の花々を植え、私有地に桜やモミジを植え、春は桜、秋は紅葉が楽しめる庭もできました。
冬になると、自宅と合わせて電飾も。「特に案内板も出していないのに、いわきや郡山からわざわざ電飾の時間に合わせて毎日見物客が来たのよ」と瑞子さん。コロナ渦でカービングの勉強会は休止、それでも古殿の森や自然を楽しんでもらえる機会を提供したいと町主催のイベント「フルドノタイム」に積極的に参加し、薪ストーブでピザ焼きを楽しむ体験を提供することが決まりました。
森・木に触れる機会を作りに、大久田の森を訪ねてみてください。
有限会社水野林興
福島県石川郡古殿町大久田越代139
電話 0247-53-3860
主な事業:素材生産販売・造林請負・森林整備
カービング(チエンソーアート作品)は、古殿町役場入口、道の駅の他、水野林興の事務所内にも多数飾られている。