麺づくりに適した気候・風土・水に恵まれた阿武隈川のほとりに建つ『円谷製麺所』は、１９５３年創業し、代々乾麺づくりを生業としてきました。うどんや蕎麦の乾麺は地域の人々に愛され、全国各地から注文が入る老舗の製麺所です。

　この乾麺の名は、「島田麺」。乾麺の形状が文金高島田（女性の婚礼の結髪）の髷に似ていることに由来し、縁起が良いとされています（円谷製麺所ＨＰより）。一般的な棒面と違い、麺を打つ際の長さは短く、髷部分の形をきれいに形つくるため、粉・水分の配合、伸ばし方等独自の技術によって生み出されています。
　
　贈答品等でも活用されてきた乾麺にも、２０２０年からのコロナ渦は大きな変化をもたらしました。長年続けられてきた伝統行事やイベントや祝い事の形の変化、巣ごもり需要の拡大によって新商品の開発に必要を感じ、製麺技能士の資格を持つ若き後継者圓谷健さんを中心に生麺の製造に着手しました。生麺は厳選した小麦粉を使い、一晩寝かせて、もっちりとした食感を味わえるよう練り上げて完成させた商品です。近隣のスーパーや道の駅等で販売を開始し、２食入りだし汁付きが好評を得ています。

　こうした製麺の技術を活かし、小麦粉や水にこだわり、試行錯誤を繰り返し完成したのが「もっちり生パスタ」です。デュラム小麦粉・塩・地下水を丁寧に練り上げて作られた麺は、モチモチの歯ごたえ。１～２分と短い茹で時間で本格的なパスタが楽しめることから、今人気のキャンプでも気軽に利用することができます。購入者からは好評で、「今後は近隣農家の野菜（トマトやホウレンソウ等）を練りこんだ生パスタ等製品開発を広げていきたい」と圓谷さん。

　円谷製麺所ではＳＮＳ等を活用して生パスタを活かしたレシピが紹介されています。気軽に楽しめる生パスタを是非味わってみてください。

　円谷製麺所の商品は近隣のスーパーや、阿武隈地域の道の駅等で購入できるほか、会社ホームページからも購入が可能です。