２０１４年４月原発事故に伴う避難指示が解除され、帰還してくる住民のために都路町商業施設『Ｄｏｍｏ』が都路町岩井沢と古道にオープンしました。除染作業が終わり利用者が減り、古道店は閉鎖となりましたが、岩井沢店は、渡辺酒店の渡辺美保さんが２人の従業員とともに、都路町の住人の便を考え運営を続けています。
　
　渡辺さんは、コストを削減し存続をするため、仕入れや普段の作業に工夫をしています。さらに住人に喜んでもらえるように店に置く商品を吟味し、活気がわくように地区の農家が作った野菜、加工品を買い上げ、店舗で販売をするなどもしています。ホップジャパンの地ビールなど、都路町と近隣の企業の商品も地元の人に知ってもらい消費してもらおうと宣伝販売も行っています。みんながポジティブなベクトルに向かえるよう、各方面の繋がりを作る働きをされています。

　また、渡辺さんは、「岩井沢界隈にあった食堂、レストランが震災後再開をしなかったので、“集える”場所がなくなってしまい残念」と話します。３年後のＤｏｍｏの移転を機に、住人が気軽に集え、会話ができる場を作ろうと、元食堂経営者に協力を求めたりしながら、計画をしています。

　多忙な渡辺さんですが、夫が経営する建設業の事務関係を担ったり、もともとの家業であった農業（和牛の子とり、水稲、野菜）の作業も行っています。年老いた義父母、あちこち現場を切り盛りする夫のサポートをするのに、今では母牛の発情、出産時期まで牛の様子を見ただけでわかるようになったとか。

「息子の手は借りるけれど、牛の世話は獣医との連携で一人でもできるようになりました。自分がいろいろできるようになれば、人の手を煩わせることはない」と渡辺さん。「今度はトラクター操作ができるようになりたい！　がんばるといろいろできてすごいわ！」と小さな体に、大きな力と幸せのオーラを発していました。