昆虫で地域活性化を! 観光から産業へ導くために昆虫の聖地協議会発足(田村市)

 こどもの頃の夏の思い出といえば、花火、海水浴、スイカ、プール遊び、さらには昆虫採集! その昆虫のなかでもカブトムシ、クワガタでまちおこし、観光振興をしようと田村市役所が仕かけた新たな取り組みについて、お話を伺いました。

 1991年に旧常葉町にオープンしたムシムシランドは、もともとは豊かな山林から腐葉土の生産を行っていた過程で、腐葉土の中に埋もれていたたくさんのカブトムシの幼虫から何かできないか、という発想から誕生した施設でした。

 その後、子どもたちや昆虫マニアの間でじわじわと認知されてきたところで原発事故。緊急時避難準備区域に指定されたため、一時閉園を余儀なくされました。現在は指定も解除され再スタートしましたが、この間、入場者数が最盛期の5%の時期も経験しました。
 
 そんなどん底からV字復活をするべく立ち上がったのが、田村市産業部観光交流課。2022年6月に開催された「第一回全国クワガタサミット」において「昆虫の聖地協議会」を発足させ、昆虫が生息できる循環型社会、将来における昆虫を資源とした未来経済価値の共創を掲げました。このクワガタサミットには、大阪観光局、大阪箕面市長、大阪府能勢町長、宮崎県延岡市長も参加され、現在15自治体が加盟しています。

 そして今年(2023年)7月、ムシムシランドをリニューアルオープン。カブトムシの形をした昆虫館が新設され、隣接するドームでは1000匹のカブトムシと触れ合う体験ができます。

 「映像では見たことがあっても、実際にカブトムシに触れる機会がなかった子どもたちが、おっかなびっくり触れて、つまんで、持ち上げて、眺める実体験が大切だ」と産業部吉田部長は力説します。「帰り際の子どもたちの表情が、来た時とは全く違って輝いて見えた」とも。

 田村市役所の産業部には新たに「昆虫課」というバーチャル(仮想)の部署が設けられ、課長にはムシムシランドの「カブトン」が任命されました。今後、新生ムシムシランドのPR活動に努めるそうです。

なお、そのカブトン課長は7月14日から17日までのオープニングイベントで汗だくのヘトヘト。ただ今リフレッシュ休暇中とのことで、取材時は小ぶりなカブトン課長と大柄で爽やか笑顔の吉田部長とのツーショット写真となりました。

【ムシムシランド】
〒979-3202 福島県田村市常葉町山根字殿上160番地
(スカイパレスときわのすぐそば)
ホームページ https://mushimushiland.com/
TEL:0247-77-4097
※水曜日休園
※2023年8/26(土)~11/26(日)は、土・日・祝日で昆虫館のみ営業