広い阿武隈地域のほぼ中央部に位置する大越町。この町に30年近く前から毎年コツコツとひまわりの種を植え、今では大越町牧野地区100戸の住民を巻き込み、満開のひまわり畑でイベントまで行うようになった、ひまわりおじさんこと佐久間辰一さんに話を聞いてきました。
磐越自動車道の田村スマートインターチェンジを降りると、広大な農地が広がっている大越町牧野地区。その牧野地区の畑一面に広がる3万本のひまわり。
始まりは30年ほど前、区画整備事業によって殺風景になってしまった土地を見て、「花を見ながら一杯やるか!と思い立ったから」と佐久間さん。「その頃、テレビで「ひまわり」というタイトルのドラマを放送していたので、ひまわりの種を植えたのがスタートだった」。安易な気持ちから始まったひまわり畑ですが、咲き始めると思いのほか好評で、徐々に牧野地区の名物になっていきます。
その反面、人口流出による過疎化や世代間交流の減少に大越町の将来に不安を感じた佐久間さんは、このひまわりを活用して生まれ育った町を元気にしたいと、牧野ひまわりの会会長としてさまざまな活動をしていきます。
その中で最もインパクトの強いものが、満開に咲くひまわり畑での結婚式! 佐久間さんの活動に共感した多くの人々がスタッフとなり、毎年8月に開催され、全国から大越町のひまわり畑で結婚式を挙げたいカップルが応募してきます。
驚くことにその費用は無料。ウエディングドレスは佐久間さんの自宅に40着もあり、それを着て挙式できます。このひまわり畑結婚式のおかげで、地域の交流が活性化され、地域おこしにも貢献しているそうです。
この取り組みに感動した愛知県の大学生が、ひまわりの花びらで作ったウエディングドレスを送ってきたり、ひまわり畑の活動に感銘した絵本作家が「ひまわりおじさん」の絵本を世に出したりしています。
この絵本はシリア人ジャーナリストの目に止まり、ついには内戦で苦しむシリアの子どもたちに見せてあげたいとアラビア語版を作って、佐久間さんはドバイまで赴いて手渡してきました。この絵本、今ではベトナム語、フィンランド語、スペイン語に翻訳されて遠い国々で子どもたちに読まれています。
大越町牧野に咲く一輪のひまわりから始まり、世界各地に元気を降りそそぐ「ひまわりおじさん」佐久間さんは、今日も元気いっぱいに畑で精を出しています。
※トップ画像:自宅前の畑に咲くひまわりと佐久間辰一さん
満開に咲くひまわり畑での結婚式!
ひまわり畑の活動に感銘した絵本作家が出版した絵本「ひまわりおじさん」販売サイト:https://bunya.shop-pro.jp/?pid=134649604