阿武隈地域の南端、茨城県との県境に接する矢祭町。久慈川の鮎を目当てに多くの釣人が訪れる町です。また、寄贈を呼び掛けた図書29万冊をもって、2007年開館した『やまつりもったいない図書館』で全国的に知られた町でもあります。
2023年1月、町内の有志が集まり『NPO法人まち・ひと・みらい』が設立されました。この法人は、2017年から5年間にわたり活動した「やまつりまち・ひと・みらいづくり協議会」(以下協議会)が基礎になっています。協議会で培われたまちづくり事業や観光振興事業を継承し、自然、文化、歴史、伝統、産業、人材などに新たな価値を見出し、新たな事業モデルを構築し、地域の活性化並びに持続可能な地域社会を構築することを目指す中間支援組織として誕生しました。
法人の代表を務めるのは、若手経営者である押田洋平さん。会員には町内で活躍する事業者(農業・商業・交通他)が集まり、それぞれの分野を活かした活動を予定しています。
押田さんがまず手がけたのが、町内に増えつつある空き家の活用です。国道沿いにあった空き家を事務所兼交流施設に改修中です。「NPO法人の活動拠点としてだけでなく、町民・来訪者の交流拠点としても活用を予定している」と押田さん。
また、「矢祭町を気に入り、地域おこし協力隊員として移住してきた彼らが、ここに住み続けたいと思う気持ちを繋いでいきたい」と、地域おこし協力隊員の現活動を応援しながら、退任後も矢祭町に住み続けることができ、就業・活躍できるような伴走支援システムを作っていくことも事業の柱に掲げています。
さらに、今年の夏、4年ぶりに鮎釣り大会「やまつりCUP」を主催しました。この大会も継承した事業のひとつです。町内外から協賛が集まるなど、多くの関心が寄せられるイベントとなりました。
NPOとしての活動は始まったばかり。「今後は矢祭町を体感してもらう里山の暮らし体験など、矢祭町の資源を活用し町を元気にしていきたい」と押田さんは意欲的です。
今後の多くの取組に、大きな期待が寄せられているNPO法人です。