ワインを100年続く村の基幹産業へ かわうちワイナリー 統括マネージャー遠藤一美さん

▼復興へ・・牧草地の活用

2011年の東京電力福島第一原子力発電所の事故により全村避難となった双葉郡川内村。翌年以降には半径20km圏外の帰村を宣言。そんな時に2015年、一般社団法人日本葡萄酒革進協会からの推せんを受けワイン製造の計画が立ち上がりました。ぶどう栽培の候補地となったのが川内村の北西部、阿武隈高地の中央に位置する上川内地区です。そこは桧山南面に広がる村営の牧草地でした。

▼整地から苗木の定植へ

▼初めての収穫と醸造

初めてのぶどう栽培に試行錯誤しながらも2020年に初めての収穫。醸造を山梨へ委託し、560本のワインが製造されました。2021年、かわうちワイン株式会社に出向し統括マネージャーとなった遠藤さん。5月にはぶどう畑の一画に醸造施設が完成し、翌2022年には3ヘクタールで12000本の苗を育て、初めて川内村栽培・醸造ができました。「醸造本数は少なかったものの、出来たワインにワクワクし、次はもっといいものを。さらにその次に続けていかなければとの想いを強くしました。」と遠藤さんは話します。

▼100年続く事業に

3ヘクタールの圃場「高田島ヴィンヤード」には栽培・醸造責任者の安達貴さん、栽培・広報事務担当の地域おこし協力隊員3人、ほかに多くの村民がボランティアで関わっています。県内外から作業のボランティアに通う多くの人も川内村にやってきます。「ワインを作るにも人が大事」と話す遠藤さん。忙しくても川内村に来てくれることを大切に接することで、ここで働きたい、移住したいという人も増え、ワイン造りに関わりたいと思う場所にしたい。100年と続く事業にしたいと願う遠藤さんの活躍はこれからも続きます。

(2024年6月12日取材S)

■名称 かわうちワイン株式会社 統括マネージャー 遠藤一美さん

■住所 福島県双葉郡川内村大字上川内字大平2-1

■連絡先 TEL:0240-25-8868

■SNS https://kawauchi-wine.com/

写真トップ:「関わる人が大事」と語る 総括マネージャーの遠藤一美さん。 かわうちワイナリーの建物を入るとすぐに、川内村産のワインが並ぶ

写真2:阿武隈高地らしい、なだらかな丘陵地に広がるぶどう畑で、手入れ作業の続く日々。遠藤一美さんとかわうちワイン株式会社社長の猪狩貢さん (右)後方にワイナリーが建つ

写真2:年間2万本のワイン製造をめざし、ワイナリーには新しい醸造タンクが並ぶ。