こどもが人生で初めて出会う本[絵本]に情熱を注ぐ「石川屋」8代目店主 (常葉町)

▼常葉町~いわき市~仙台、そして故郷常葉町に

江戸時代末期から商店を営む家に生まれた「石川屋」8代目店主の石井修一さんは、物心がついた時から身近に本が溢れていた。家業は、生活用品、雑貨、薬、本などを販売し、常葉町の人たちに古くから愛されてきた。そんな地域で育った石井さんは、高校卒業後、大学生時代をいわき市で過ごし、就職は仙台市だった。仕事も順調に頑張っていた時に、家庭の事情で急遽、常葉町に戻り家業を継ぐこととなった。

▼押し寄せる大型書店、その後の活字離れ、激動の時代襲来

▼逆境からプラス思考でチャレンジ精神発動

そんな台風の目のような嵐の中に飛び込んだ石井さん。家業を継ぐにあたり考えたのは「店を閉めるのは簡単だけど、自分の好きなようにやれるだけやってみよう」ということだった。自分はシンプルに絵を観ることも描くことも好き。ならばどこにも無いような、絵本の専門店をやってみようと思い立った。絵本はこどもが人生で初めて出会い、何度でも読み返すもの。どんな時代になっても流行に流されない。絵本専門店をやろうと決めたあとの行動は速かった。

▼新しい発想「魅せる書店」

絵本専門店「石川屋」に一歩足を踏み入れると圧倒されるのは、お城の城壁のような高い天井まで届く書棚。さらには2000冊もの絵本すべて表紙が買う人に絵本の中身を訴えている。取材中、石井さんは何度も「絵本は表紙で80%決まる」と言っていた。この魅せかたは石井さんのアイディアを設計士と具現化した。絵本専門店全体がまさに「アート」と呼ぶにふさわしい作品と感じた。

(2024年9月24日取材Y)

■名称 「石川屋」

■住所 〒963-4602 福島県田村市常葉町常葉字中町36番地

■営業曜日:月~土  (不定休有り)

■駐車場:有り

■URL https://ishikawaya.shop/

写真トップ:天井まで届く絵本書棚は壮観です。2000冊もの絵本がすべて表紙をこちらに見せている陳列方法も他に類を見ない。店内に足を踏み入れたこどもたちが絵本の表紙にくぎづけになるのもわかります。

写真2:みずから絵を描くこと、観ることが好きだと言う店主の石川修一さん。そんな石川さんが絵本専門店をはじめたのは天職だったのかも。絵本の良さを説明している時の、楽しくて嬉しそうな表情からもうかがえます。

写真3:国道288号線の常葉町商店街通りで異彩を放つ建物。一見、カフェのようなお洒落な佇まい。震災後、リニューアルした書店は石川さんの絵本に懸けるアイディアの詰まった絵本専門店に生まれ変わった。