愛知県出身の鈴木翔瑛さん(23歳)は、2018年4月から古殿町の地域おこし協力隊の第1期生として活動を始めました。
きっかけは、鳥取環境大学環境学部4年生の時に、総務省の「ふるさとワーキングホリディー制度」(※)を利用し、気になっていた被災地の福島を初めて訪問したことでした。第一印象は、「福島県は広い」だったと言います。
すっかり福島の魅力に取りつかれたそうです。どんなところに魅力を感じましたかとお聞きすると、「海も山もあって、自然豊か。大学で学んでいた森林も多い」とのことでした。
卒業後は、福島の復興と地域づくりのお手伝いをしたいと考え、福島で働くことを決意したそうです。そんな時、福島を訪問した際に一目ぼれした、林野庁が次世代に残すべき樹木「森の巨人たち百選」に選ばれている樹齢400年の「越代のさくら」がある古殿町で地域おこし協力隊の募集があること知り、応募し採用されました。
「自分が第1期生ということで、責任も感じています」と鈴木さん。
古殿町を知ることとして、まず町中を駆け巡り、ふるさと工房おざわふぁーむの小澤啓子さんや山菜農家の水野さん、NPO法人馬事振興会の方々などたくさんの人と出会い、話し、体験しました。これまで経験したことのない、山に囲まれた町での生活でしたが、車で自由に走れるようになり、近隣の他町村の地域おこし協力隊員を訪問し、それぞれの活動についても話を聞くことができるようにもなりました。
そんな中で見つけた古殿町の地域の宝は、「新鮮野菜」「杉とチェーンソーアート」だと鈴木さん。古殿の新鮮野菜のおいしさをたくさんの人に味わってもらいたいと、サンドイッチ企画を立案しました。第1弾は玉ねぎ! おいしさを活かしたサンドイッチを作り、道の駅ふるどの(おふくろの駅)のイベントで販売しました。第2弾は、古殿町特産の「うるい(山菜)」やミニトマトなどを使った企画を準備中です。
林業が盛んな古殿町は杉材が豊富です。数年前から、チェーンソーアートの第一人者城所ケイジ氏をはじめとするチェーンソーアーアーティストを招き、干支の作品を制作しています。(毎年その作品は役場の玄関やおふくろの駅で見ることができます。)
鈴木さんは、これまで見るだけだった彫刻を、昔話の語り部とコラボし、立体昔話活動ができればと、その企画を進行中です。
地域おこし協力隊としてはまだ1年目。「毎日新しいことばかりの連続の日々ですが、任期を終える3年後、どんな自分になっているか楽しみにしています」と鈴木さん。若い力に周囲からも大きな期待が寄せられています。
※ふるさとワーキングホリディー
都会に暮らす若い人たちが、一定期間、地域に滞在し、働きながら、地域の人たちとの交流の場や学びの場などを通して、通常の旅行では味わえない地域の丸ごとを体感してもらう、地域とのかかわりを深めてもらう取り組み(総務省HPより)