阿武隈山系森林活用のアドバイザー 冨永茂さん(塙町)

地域林政アドバイザー派遣は、国が制定した林業・森林管理の制度運用について相談対応する林野庁の制度です。

2021年7月、アドバイザー派遣を求めていた塙町に、林野庁を退職され、林業技士・森林評価士としての資格を持つ冨永茂さんが就任しました。冨永さんは、「森林を宝の山にしよう」と、森林の魅力・管理・運用について発信し、役場ともに活用のモデルづくりを進めています。
 
 日本の国土面積のうち67%を森林が占めています。その41%が人口林です。人口林とは、人の手で植林され、木材資源として管理されている森林のことで、1000万ヘクタールにも及びます。福島県の人口林は約34万ヘクタールあり、特に塙町を含む東白川郡や石川郡は人口林の割合が多い地域です。

「木の町はなわ」と呼ばれる塙町は、福島県・茨城県・栃木県の三県にまたがる阿武隈・八溝地域に位置し、豊かな森林資源に恵まれています。日本有数の国産材専門工場が稼働、全国へ建築資材等として送られるなど、木に関わる仕事に就く人が多くいます。

しかし、建築資材として即利用でき、低価格で仕入れられる外国材が重宝され、それに合わせるように国産材も安い価格で取引される状況が長く続いている状況から、小規模面積所有者の多くは価値を見出せずに、多くの山林は放置されているのが現状です。

 冨永さんは、儲からない森林を儲かる資源にするためにどうするか、管理を行う林業が儲かる仕組みづくり等の準備を進めています。「まずは、木にとって適切な管理と伐採、新たな苗木の植栽を回すことで木材の利用を進め価値を高める。森林の持つアメニティ機能(心地よさ・快適性)を活用した森林浴や森林セラピー等のプログラム活用等、モデル案を提供したい」と冨永さん。

そして林業という仕事を活性させるため、若い女性も積極的に就業できるよう、重機操作による作業の促進、男女の差がなく就労できる就業環境の整備提案もしています。多くの女性が安心して活き活きと働ける場、職業になり、女性の感性をもって新たな森林活用のアイデアが出ることを期待しています。

 森林所有者で、今後の管理、活用に悩みを抱えている方は、是非アドバイザーへ相談をしてみてはいかがでしょうか。

塙町農林推進課林政係 地域林政アドバイザー 冨永 茂さん
東白川郡塙町大字塙字大町三丁目21
Tel:0247-43-2118