2024年3月、阿武隈の里山に建つ「OJONCO館」の一画に、新たな憩いのスペース『治療院カフェ』がオープンします。
OJONCO館は、築100年の元診療所。東日本大震災後、いわき復興の一翼になれないかと、いわき市にゆかりのある女性たちが呼びかけ改修された、三和町上三坂地区のコミュニティスペースです。普段は、いわき地方で冬に愛用されてきた袖なしの綿入れ半纏「おじょんこ」の製作や、地区の子どもたちの体験活動などに活用されてきました。
しかし、震災から10年を経過した頃には、利用者も限定的となり、大量に残されている書籍や漆器なども活用されないまま放置された状況に。そこで、施設管理を担っている一般社団法人OJONCO(代表:根本敦子さん)からの声かけで、上三坂地区を元気にすることを目的に、有志による「上三坂プロジェクト」が結成されました。その代表は、地元在住の写真家でもある田子保浩さんです。
「上三坂地区は、交通の要所で宿場町でもあったところだが、今は買い物も病院も隣町へ行くような状況になってきた。高齢化も進み、空き家になってきた家が増えつつある。住民にアンケートを実施したところ、集える場所があったらとの声が多かった。そこで、カフェを開こうということになった」と田子さんがカフェオープンの経緯を話してくれました。
カフェは館内の元台所だったところです。OJONCO館開設時は未改修だったため、物置と化していました。でも、南側に面した窓から地区の桜の木々が見え、里山の四季折々の風景が楽しめるロケーションが広がっていることから、ここをカフェとして改修することになったそうです。「カフェの名前の由来は元診療所だったからです。ここに来れば、里山の景色が心を癒し、地元産食材の料理が身体を癒す。文字通り、心身の拠り所の場になれたらとの想いで命名しました」と田子さん。
11月初旬、地区内にある大きなナツメの木から、たくさんの実が収穫できました。他にもクコの実など、上三坂の里山には山野草もたくさん自生しています。これらで何かできないかと、薬膳料理を指導している先生にお願いして、調理担当予定のスタッフの勉強会が始まりました。身近にある食材が、おいしく身体によい薬膳料理になることがわかり、オープンに向けた試作にも力が入ります。12月には、試し営業も兼ねた蕎麦打ちやクリスマス料理のふるまいなどのイベントも開催されます。
上三坂の春は福寿草から始まりニリンソウ、カタクリ、水仙、桜と花の見どころも満載です。里山の春を目で楽しんだ後は、『治療院カフェ』でおいしい食も楽しんでください。
2024年3月オープン予定(営業は土・日曜日のみ)
住所:〒970-1374 いわき市三和町上三坂字中町86−1(GoogleMap)
ウェブサイト https://www.instagram.com/chiryoin_cafe/
問合せ先:chiryoincafe◎gmail.com(”◎”を”@”に変更して送信ください)
トップ画像:『治療院カフェ』の打合せ
画像:準備作業
画像:『治療院カフェ』外観
画像:内観