子どもの頃の楽しい記憶が原点 ~つないでいきたいふるさとのよさ~(棚倉町)

▼ふるさとへの回帰は小さいころの楽しい記憶
棚倉町で「おしろまぁけっと」を主宰している後藤裕真さん(37歳)は、子どもの頃に、地域のまつりやイベントによく参加していた記憶が鮮明で、大学進学でふるさとを離れたが、卒業後はふるさとに戻ろうと漠然と考えていた。2009年に帰郷後、町外で仕事をした時期もあったが、家業の工務店に落ち着いた。そして、棚倉町のTMO「株式会社まち工房たなぐら」が主催していた「たなぐら小径マルシェ」(隔月開催)に参加するなどを通して、ハンドメイドやクラフトメイドを主体にしたマルシェのよさに惹かれていった。
※TMO(Town Management Organization)は商業活性化のためにまちづくり活動を行う組織のこと、第3セクターの場合が多い。

▼仲間づくりに取り組む
色んな催しに関わる中から、仲間も徐々に増え、2017年に棚倉町、塙町などの30代の仲間8人で「たなぐらまちづくりメイト」を設立した。この団体については、2019年にこちらの記事で紹介している。→ http://www.npo-abukuma.org/20190130/

▼コロナ禍の終息を好機と見て動く
しかしすぐにコロナ禍に見舞われ、活動が大きく制限されたが、2023年に感染法上の位置づけが5類に移行することが発表されると、ここでやるしかないと見定め、自前のマルシェを作ることを決意した。そして、2023年11月5日(日)に棚倉のランドマークと言うべき「城跡」を舞台に「第1回おしろまぁけっと」の開催にこぎつけた。出店数は45店舗、初回ながら50店舗を目標にほぼ後藤さんが一人で交渉に当たってきた。

▼まだまだ続くまちおこしへの挑戦
本年5月4日(土)には、「第2回おしろまぁけっと」を開催した。出店数は61店舗まで増えた。目標としていた町外からの誘客にも手ごたえがあり、会場を訪れた湯座一平町長が「これまでには見ない顔が多いね」と太鼓判を押してくれた。そして何よりうれしかったのは、町内在住の高校生から運営を手伝いたいと申し出があるなど、実行委員会の人数が増えてきたことだ。次は11月中旬の土曜日に第3回を予定しており、ふるさと「たなぐら」のよさを次の世代につないでいくために、さらなる挑戦へと溢れるエネルギーを感じた。
(2024年6月20日取材I)

写真トップ:後藤裕真さん
この日お目にかかったのは、まだ真新しい感じの棚倉町立図書館。梅雨をイメージしてか傘でのデコレーションがされていて、とても癒される空間である。ちょうど小学生の一団が見学のためか訪れているのにも出会った。

 

写真2:第2回おしろまぁけっと
5月4日(土・祝)に開催された時の様子。五月晴れの中、大勢の人たちが訪れた。出店者も北は伊達市、西は会津若松市から県内各所より、そして栃木県や茨城県といった県外からの出店もあった。こうした多彩な出店者が県外からの集客につながったのだろう。
(写真は後藤さん提供)

 

写真3:お茶室広場
「おしろまぁけっと」の会場となる城跡横にある広場。普段は人影もなく、気持ちのよい広場である。木立の向こうには立派な城跡があり、周りを堀が囲んでいる。春には桜まつりも開催されてにぎわう。東北の小京都を名乗る棚倉町には、歴史を感じさせる空間が広がっている。